介護看護ネットワーク 20101026

 今回は、アートセラピストの細越旦見(あさみ)さんに、高齢者施設での実習の様子をレポートしてもらいました。

 私はメルボルン市内のカレッジでアートセラピーを勉強しており、現在は学校の近くの老人ホーム・ローケア棟でアートセラピーの実習をさせてもらっています。

 アートセラピーとは表現療法の一種で、クライアントさんが絵を描いたりすることで自分の感情を表に出し、それが癒しにつながっていく、というセラ ピーです。「傾聴と共感をベースに、お互いの感情をシェアする」といったことに重きを置いた新しいジャンルのセラピーで、今後、病院やさまざまな施設で取 り扱われていくだろうと期待されています。認知症の方へのセラピーとしても高い効果があることが知られており、「感情表現が豊かになった」、「自尊心が高 まった」、「ほかのお年寄りとのコミュニケーションを取る機会が増えた」といった報告もされています。

 現在、私が老人ホームで行っているのは、5,6人の住居者を対象としたグループセラピーで、自分の好きな色で好きなものを描いてもらうということ をしています。最初、認知症をもつ方が自由に何かを描くのは難しいのではないかと思っていましたが、ほとんどの方が一様に個性的な絵を描き、私をはじめそ の場にいたスタッフ全員がとても驚く結果となりました。「みんな、絵を描くのが好きなんだ!」と思い知らされた出来事でした。

 また、絵を描いている途中に「今、どんな風に感じていますか?」と尋ねた時、みなさんとてもうれしそうな顔をされるのも印象的でした。認知症の方 にとって、そのとき感じている感情について話すことはとても難しいことのように思われます。でも、感情表現が難しいとしても、自分の気持ちを聞いてほしい という思いはあるのだ、と再確認させられました。

 それ以外にも、アートセラピー中、一人の住居者の方が隣に座っていた方と世間話で盛り上がったことがありました。相手の絵を見てそれに興味を持 ち、そこから会話が始まったようでした。こういった住居者同士の会話は認知症を持つ方にとってはとても珍しいことだと聞いています。アートを介して心が オープンになったことで、相手とコミュニケーションを取りたいという気持ちが高まったのだと思います。

 まだ実習を始めたばかりですが、こういった住居者の方々のよい反応を見ることができて、とてもうれしく思います。アートセラピーを通し、住居者の方々と心のふれあいができていければと思っています。

介護・看護士・理学療法士など、高齢者介護にかかわっている方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください。
連絡先:みどり This email address is being protected from spambots. You need JavaScript enabled to view it. 0418-540-865

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